弁護士法人 大阪パブリック法律事務所
お知らせ・事例報告
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検察官の勾留請求を却下させた事案

捜査段階の身体拘束(逮捕・勾留)は,最大で23日間続きます。

特に勾留は,最大20日間に及ぶ身体拘束となるので,私生活に重大な影響を及ぼします。

そのため実務では,勾留の是非を巡って争われるケースが多くあります。
本来,勾留とは,証拠を隠滅したり,逃亡したりする具体的な危険がある場合に限り行われるものであり,そのような具体的な危険がない場合に勾留することは許されません。

しかし実務の現状を見てみると,必ずしもその点を意識した運用がなされているとは言い難い側面があります。

捜査機関は,逮捕・勾留によって被疑者から自白を得ようとすることが多く,裁判官も検察官の勾留請求を却下することがほとんどないからです(平成25年の勾留請求却下率は,全国平均で3.9%というデータが出ています。)。

このような司法の在り方は,長年「人質司法」と批判されてきました。

 

しかし私は,これまで何件もの刑事事件を担当するなかで,常に,身体拘束からの早期解放を目指した弁護活動を行ってきました。

身体拘束からの解放に向けてできることは何でもするというのが私のスタンスです。

 

捜査弁護は常に時間との戦いです。

私の場合,逮捕直後から接見を重ね,取調べ対応などについて適切なアドバイスを行うことはもちろんのこと,捜査機関がどの程度の客観証拠を収集しているのかを推測し,捜査の進捗状況を把握しながら弁護活動を行います。

また,関係者からの聴取り調査等も並行して行い,陳述書等の資料を十分に集めます。そして,検察官からの勾留請求があれば,即座に裁判官と面談し,根拠資料をもって勾留の理由・必要がないことを強く訴えます。
こうした地道な弁護活動の成果として,最近の事例でも,保釈中に再び同じ事件を起こして逮捕された方について,勾留請求却下を勝ち取ったケースがあります。

この事案では,既に起訴されている事件の証拠が,逮捕された事件の証拠にもなるという関係にあったことや,逮捕されるに至った経緯やそこから推測される捜査の進捗状況からすると,捜査が概ね完了しており,証拠隠滅の対象となる証拠がもはや存在しないことが推測できました。

さらに,本人が素直に事実を認め,その旨の供述調書が作成されていることなどの事情も踏まえると,本人に証拠隠滅の意思がないことも明らかでした。

裁判官との面談では,この点を強調し,証拠隠滅の具体的危険がないことを強く訴えました。

また,本人の身元が安定しており,既に起訴されている事件の関係で1000万円以上もの保釈金を収めているなどの事情から,逃亡の具体的危険がないことも裁判官に訴えました。そのほかにも,身体拘束から解放する必要が極めて高いことを示す数々の事情を裁判官に伝えることにより,無事,検察官の勾留請求は却下されることとなったのです(この却下決定に対し,検察官から不服申立てがなされましたが,これも棄却されました。)。
このように,捜査弁護では限られた時間のなかで常に次の手を考え,迅速に行動に移す力が必要になります。

私たちは,これまでの経験から得られた捜査弁護におけるノウハウを事務所内で共有しており,事件によっては複数の弁護体制を組んで,機動的な弁護活動を行っています。

近年の大阪の勾留請求却下率は,わずか1%程度というデータも出ていますが,私たちは,「人質司法」からの脱却を目指し,あきらめることなく一つ一つの事件に日々全力で取り組んでいます。

(岸祐司弁護士担当事案)