弁護士法人 大阪パブリック法律事務所
お知らせ・事例報告
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暴行事件で正当防衛を主張し,示談をせずに不起訴となった事案

今回ご紹介する事案は,深夜,見知らぬ男性と口論になり,暴力を振るってしまった,という男性Aさんの暴行事件です。

この事件では,事件後,相手方の男性Bさんがすぐに警察に通報し,Aさんは駆け付けた警察官に警察署まで連れていかれ,事情聴取を受けることになりました。その際Aさんは,今回の事件は正当防衛だと思うことなどを懸命に訴えましたが,一切調書にしてもらえませんでした。また,警察官から,「こんなものは喧嘩や」「俺に任せてくれるか」といった趣旨の説明を受け,警察官から言われるがまま,Bさんの言い分どおりの自白調書を作成してしまいました。

その後,警察官に自宅に送ってもらう車内で今後の手続の流れを確認したところ,「罰金20万円ほど払ったらしまいや」などと言われ,自分の言い分を一切考慮してもらえずに処分が決まってしまうことに,ひどく理不尽な思いをしました。

そこでAさんは,やはり納得できない,という思いが強くなり,当事務所にご相談に来られました。

早速Aさんから事件に至るまでの経緯を詳細に聞いてみると,事件当夜,自宅兼店舗のなかにいたところ,外で数名の男性が騒いでいる声,女性の悲鳴のような声が聞こえたことから,外に出て注意をした,すると,そのなかの一人の男性(Bさん)の反感を買ってしまい,BさんがAさんのいるところまで押し掛けてきて押し問答となったので,Bさんの頬に軽く平手打ちをしてしまった,とのことでした。

Aさんの話を前提にすると,確かに正当防衛が成立するか,仮に成立しないとしても,Bさんの行為が事件を誘発した側面が強いと思われる事情がありました。

そこで,その後の取調べにおいては,当然のことですが,正当防衛を基礎づける事情(事件に至る経緯の部分)を強く訴えることとし,体調が悪いときには診断書を提出して取調べ日時を延長するなどして,体調面にも配慮しながら取調べに対応しました。

検察官は,当初,Aさんとの間で示談をする意向があるのか尋ねてきましたが(検察官から示談の話が出るということは,示談となれば不起訴となる可能性が高いといえます),Aさんと相談の上,示談はせず,Aさんの主張を強く訴えることとしました。

そして弁護人から検察官に対して意見書を提出し,本件は,正当防衛が成立する事案であること,仮に正当防衛が成立しないとしても,Bさんの行為が事件を誘発した側面が強いことなどから,不起訴とするべきであると強く訴えました。

その結果,Aさんは不起訴となりました。

今回の事件のように,事件の性質によっては,示談が成立していなくても不起訴となるケースはあります。事件の見極め,方針の立て方については,刑事事件についての知識と経験が必要になります。私たちは,さまざまな刑事事件の知識,経験を豊富に有しておりますので,方針について迷うことがありましたら,是非当事務所までご相談ください。

(岸祐司弁護士担当事案)